憲法統治の主要論点50 司法権の範囲

司法試験レベルの憲法では、司法権の定義を理解し当てはめできることだけでなく、その理由付けにあたって、三権分立の観点から司法権の限界を論じることができるかがポイントです。また、主要な判例を理解している必要があることは当然です。

1 司法権の定義 

司法とは、「具体的な争訟について、法を適用し、宣言することによって、これを裁定する国家の作用」です。
司法権の定義より、裁判所の審査権の及ぶ範囲が決定します。

法律上の争訟に該当する場合、憲法上、特別裁判所の禁止、行政機関による終審裁判所の禁止など効果が及びます。

2 客観訴訟 

「法律上の争訟」の定義から外れるのに、裁判所の権限に属するとされているものが住民訴訟、選挙訴訟の客観訴訟です。司法権の定義を超えるが、法律で特別の例外として権限が付与されているから合憲であると解されています。しかし、司法権の限界を超えるので法律によっても権限を付与することは違憲との考え方もあり得ます。そこで、客観訴訟は何らかの具体的な国や自治体の行為を争う点では、法律の純粋な抽象的審査ではなく、国の行為と提訴権者の権利・利益の侵害との間に一定の関係があると考えることもできるとし、司法権に含まれる作用だと解する有力説もあります。

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